字彫業における時代の流れ
![]() 工程1 原稿確認 |
![]() 工程2 位置合わせ |
![]() 工程3 文字切り出し |
![]() 工程4 文字切り抜き |
![]() 藤の花切り抜き |
![]() 工程5 彫りあがり |
![]() 仕上がり |
石材に文字を彫る、いわゆる字彫業も時代的に大きな変遷をたどっています。
当社が創業したころは、字彫だけを専門とする工場はこの真壁・大和地区には数件ほどしかありませんでした。
昭和40年代前半、石材業が好景気に乗った時代です。
当時の工程はまず、原稿を受け取り、石の寸法に合わせて書家に正面の字、裏面の建年号 施主名、戒名など全部急いで書いてもらいます。
その字を受け取り、初期のころなどは紙を裏側にし、文字の輪郭を濃い鉛筆で全部なぞり書きし、それをまた裏返して石に貼り付け、ゴムの表面に強くたたいて写し、写った鉛筆の線をカッターで切り抜き、ゴムを抜き取り、その切り取られた部分を彫っていきました。
とても手間のかかる仕事で、常に納期に追われ、春、秋のお彼岸の前、および旧暦、新暦のお盆の前など、父も母も夜中までずっと仕事をしていました。
字彫の工程は最終的な仕事なのでどうしても日程の余裕がありません。当時は全くのアナログの時代でしたから、コンピュータのカッターで、文字を切っていく現在からでは、考えられないような時間のかかる作業を行っていました。
平成の時代を迎えた15年くらい前から、コンピュータで原稿を作りそのままカッターが自動で文字を切る技術の導入で字彫業も工程が飛躍的に簡便になりました。
今日では30社あまりになるこの地区での同業者が増えた要因のひとつだと思います。
当社では、墓石の竿の正面の文字だけは、昔培った技術のもとコンピュータで作り、ただそのまま切り貼りすることはせずに、ひと文字ひと文字バランスと形を整えながら文字をゴムに写し、写した文字の細部を手直ししながら、現在でも正面の文字においては手で切り抜いています。