有限会社ヤマト字彫工業

墓石、記念碑、表札や看板。
私たちは、切り出され、磨かれた石に、
さまざまな文字を彫ります。

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有限会社やまと字彫工業
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墓石のかたち

和型の墓石の例
和型の墓石の例

 現在つくられているお墓は、一般的に「和型」と「洋型」と呼ばれるふたつのかたちがあります。
最近の傾向として、比較的自由に形をつくることができ、正面に彫る文字も自由に選べる「洋型」に人気が高まっています。

1・和型の墓石

伝統的な、直方体の台に据え付ける縦型の墓石です。
基本的で最も多い正面の字は、家名をいれる
「廣瀬家之墓」
という形で、一般的に裏面や側面に建て年と施主名を刻みます。
また、家名を刻まずに
「先祖代々之墓」
「先祖累代之墓」

などの字を正面に彫るお施主さんも多くいます。

2・宗派による文字の違い

和型の墓石の例

菩提寺の宗派によって、墓石の正面に仏を表す文字を彫る場合もあります。
■浄土宗や浄土真宗などの宗派

「南無阿彌陀佛」
■日蓮宗など、妙法蓮華経を経典とする宗派 「南無妙法蓮華経」
「妙法蓮華経」
■浄土宗系の宗派で、死後に再び極楽浄土で巡り逢おうという意味で 「倶曾一處」
■臨済宗、曹洞宗、黄檗宗など禅宗系で刻まれる 「南無釈迦牟尼佛」
などがあります。

3・洋型の墓石

和型の墓石の例
洋型の墓石の例

 近年、宗派にこだわらず、家名にこだわらず、日本古来の直方体の形にもこだわらないという、自由な形式を選ぶお施主さんも多くなってきました。
一般的に、その場合は洋型と呼ばれる、伝統的な墓石の形にとらわれないお墓の形に正面の文字、絵柄なども自由にお施主さんが決められることが多くなってきました。

洋型と呼ばれる横広の型にとらわれない墓石を選びます。
大きく1文字で
「和」「愛」「夢」「心」「海」「静」「華」
「宙」「寂」「願」
などや
「やすらかに」「ありがとう」「感謝」「敬愛」「慈愛」
などのような、好きな言葉を刻む方など、実にさまざまです。

4・書体を選ぶ

書体の例一般的な文字は

楷書体行書体

このふたつです。

隷書体明朝体

の文字でも注文がありますが、やはり、線の流れがやわらかで綺麗に映える楷書または行書での注文が圧倒的に多いです。
また、菩提寺のご住職や書家に依頼して個性ある書体でという方法もあります。
そして、うちのお墓なんだから、自分の書いた字でというお施主さんもいらっしゃいます。
字の上手下手ということではなく、唯一無二のうちのお墓だからこそ自分の手書きの文字でというのはとても意味のあることで、お墓の雰囲気にも温かみもでるし、味があっていいものだと思います。

5・五輪塔について


五輪塔

墓石として五輪塔を建てる場合もあります。
正面には「〜家供養塔」や「先祖代々之供養塔」などと刻み先祖の有縁の一切を供養するという意味でこのかたちを選びます。
五輪塔は平安時代の中期あたりから現われた独特の形で、日本以外にあまり例を見ないということです。
鎌倉時代に入ると供養塔や仏塔として盛んに建てられました。
五輪塔は四方同形の塔で、五輪の「五」は宇宙や自然界の根本原素である
「空 風 火 水 地」
を表し、五輪の「輪」
「その5大原素が和合し調和し輪になり
広く大きく天地の万物を巡り余すところがない」

という意味です。

それを形で表すと「天」は円形に「地」は四角形になります。
したがって五輪塔の竿にあたる部分は四角形で「地輪」、その上に据える球体(円形)が「水輪」として表します。
地から生まれたものとして地の四角形の変形として三角形がかたちづくられ「火輪」を表す笠と呼ばれる石を据え付けます。
その上には天から誕生したものとして円形の変形「風輪」を表す半円形を据え、最上部には天と地の相互の力で誕生したものを表す、天の変化と地の変化、すなわち、半円と三角の合体した形である宝珠と呼ばれる「空輪」を据え付けます。

このように五輪塔は、円形と四角形、その変化である半円形と三角形、そして変化形の合体した宝珠形の5つの形で成り立っており、すべてに意味があるので、表現する形は絶対的なものです。

五輪塔のかたちは絶対ですが、五輪塔のひとつひとつの石に「空 風 火 水 地」と文字を彫る場合もあります。
また、形の4面は、東西南北の方向でそれぞれ仏教の教理である四門「発心門」「修行門」「菩提門」「涅槃門」を表していますので、それぞれの石の四方にその門を示す20の梵字を彫る場合もあります。

五輪塔に示されている四方四門の梵字には次のような意味があります。

「人は、この世に生まれ出たときは“仏心”に近い心なのですが、次第に「自分が」とか「私が」と“我”と“欲”が出てきて、迷いと罪障を重ねる因となり、悪業を生じて成仏・解脱の妨げとなり、苦しみの種となります。
それを修行と修養を積んで昇華し、菩提の境地を経て煩悩を離れ、涅槃の境地に到達することが理想であり、本願となるものです。四方四門の梵字はこの理想郷への導きの一つとなるもの。」

ということです。


以上、石に何を刻むかという観点で述べてきましたが、それまではただの四角く磨いた石という物体が、文字や印を彫るだけで、そのご家族やご先祖、未来の子孫にまで、大きな意味を持つ特別な石となります。
そして、何十年も百年もそこに残りものになります。
「石に魂を入れる」といいますか、本当に簡単にすますべきものではない仕事です。
彫る文字ひとつひとつに畏れをいだかなければなりません。
つい、日々の仕事をこなすことで流されがちになりますが、このことはいつもいつも心に刻みつけておかなければならないことです。


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